2017年07月03日

米アカデミーの日本人・会員(映画芸術科学アカデミーのアカデミー賞)



米アカデミー賞を主催している映画芸術科学アカデミーが6月28日、

今年のアカデミー新規会員候補を57カ国から774人を新会員の候補と

して招待すると発表し、日本からは、俳優部門で菊地凛子さん

真田広之、監督部門で三池崇史監督、ドキュメンタリー部門・フィルム

編集部門で「ミリキタニの猫」の出口景子さんらが選出されました。



映画芸術科学アカデミー会員
アメリカの映画業界人たちによって結成され、良く知られている
のは、アカデミー賞の選考・授与で、アカデミーの会員は、今年も
含むと8000人以上となり、そのメンバーの大多数はアメリカに拠点を
置いていますが、会員にふさわしい業績をあげた映画人なら国籍・
居住地に関係なく会員となれ、毎年新会員が発表され、会員には
アカデミー賞作品などを選ぶ投票権が与えられます。



★新会員
「新会員の候補として招待する」は、解り難い表現ですが、
アカデミーの会員候補なると、理事会(Board of Governors)
からの招待を受け、これを本人が辞退さえしなければ、会員になり
アカデミー賞を選ぶ投票権を持つことになり、招待を受けた事は
ほぼ、会員になった事を意味しています。

会員候補になるには
アカデミー会員は自薦・他薦により、申請ののち、協会に
承認されればなれるのですが、アメリカの業界団体だけに、
アメリカ人が会員になる事は比較的容易ですが、(アメリカから
見た)外国人が会員になるには、「会員にふさわしい業績」を
あげなければならず、容易ではありません。



映画賞受賞
世界的な有名な映画賞、特にアメリカ映画の
アカデミー賞を受賞する事は、大きな業績であり、
又、アカデミー賞にノミネートされ、受賞を逸しても
印象的、評価が高かった人にも推薦状が送られることも多く、
渡辺謙さんは、「ラストサムライ」(2003年)での助演男優賞での
ノミネートが会員承認に大きく影響し、会員になれたと言われています



アカデミーの課題
同アカデミーは1927年に創設さましたが、近年は受賞候補者の
選定や会員構成が白人偏重、男性偏重、高齢者が多くなり、
新陳代謝が進まず、世相との乖離などが課題となっています。
特に2016年のアカデミー賞は2年連続で演技部門の候補者が全員
白人だったため、白人男性が中心の会員構成に批判が起き、
会員の構成を見直し、多様性を図るために、白人以外や女性の会員を
増やすと発表していました。



今年の新会員
今年の新会員内訳は57カ国・地域出身の19歳から95歳で、
2年前に比べて女性が約3.6倍(約39%)、白人以外の人種が
約3.3倍(約30%)になりました。
アカデミー会員は数年前まで、白人が92%を占め、多くが
60歳以上の男性だったため、同アカデミーは会員構成の多様化を進め、
米紙ロサンゼルス・タイムズによると、新会員を加えた女性の
比率は28%となり、白人以外は13%になるそうです。



アメリカン・ コミックス
クリス・エヴァンス、クリス・ヘムズワース、クリス・プラット、
エリザベス・オルセンら「アベンジャーズ」組も、揃って仲間入りを
果たし、プラットの妻アンナ・ファリスも招待され、ライバルのDCからは、
「ワンダーウーマン」で大ブレイクを果たしたばかりの
ガル・ガドットが、招待を受けています。



若手会員
昨年(2016年)にも会員構成を変えるべく、アカデミーは、意図的に、
女性、マイノリティ、外国人を新会員に招いていますが、平均年齢が
60歳以上であることも是正の対象で、昨年に続き、今年も若手が
目立っていて、今年の最年少は、19歳のエル・ファニング。
他には、アダム・ドライバー(33)、クリステン・スチュワート(27)、
ルーカス・ヘッジス(20)、ルパート・グリント(28)、
マーゴット・ロビー(26 )、シェイリーン・ウッドリー(25)
などが含まれています。



高齢化の要因
会員は俳優や監督、映画会社の役員で構成され、生涯にわたり投票権が
与えられていましたが、今後は、新規会員について投票権を持つ期間を
10年に限り、活動実績に応じて更新する制度を導入する。ただし、
受賞者やノミネートされた経験がある会員は従来通り生涯にわたる
投票権を持つそうです。。



いきなり会員
昨年は、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」までほぼ無名だった
ジョン・ボイエガ(25)が、今年は、監督部門でジョーダン・ピールが
招待され「長年優れたことを達成してきた」に拘り続けた時代とは
隔世の感があります。
ピール監督は、今年2月に北米公開され、批評家からも観客からも
絶賛されたホラー映画「Get Out」で一気に注目を集めた人ですが、
これが長編映画デビュー作で、その前に俳優をやってきてはいるものの、
監督としては新人です。



エンタメ映画として大きな功績をあげながら、辛酸をなめ続け、
1993年「シンドラーのリスト」で念願の監督・作品賞を受賞した
スティーヴン・スピルバーグ監督が、監督デビューとも言える
テレビドラマ「刑事コロンボ/構想の死角」や「激突!」で、いきなり
招待状が来たような有り得ない出来事で、スピルバーグ監督は
「時代が変わったなあ」と呟いているかも。



やっと会員(外国人が会員となる難しさ)
やっと会員になった感じがするのが、イタリア人女優の
モニカ・ベルッチで、、1990年に女優として映画デビュー。
1992年にはアメリカ映画「ドラキュラ」に出演し、その後
フランス・イタリア・ハリウッドと幅広く活躍し、イタリアの
至宝と呼ばれる女優さんですが、やっと会員になりました。



調べてみると、2015年アメリカ映画「007 スペクター」では
ボンドガールの1人として、史上最年長にしてボンドガールに
抜擢された事が評価されたようです。
近年、シリーズでソフィー・マルソー、エヴァ・グリーンらの
存在感を示した欧州歴代ボンドガールの功績も大きいようです。



アカデミーと国際映画祭
アカデミー賞は、前年度にロサンゼルス郡内の映画館で、連続7日間
以上有料で公開された40分以上の映画で、劇場公開以前にテレビや
インターネットなどで放映されていない作品と言う条件を満たした
映画作品がノミネートされ、作品賞ほか最大で25部門が選定される。
受賞者に賞金はなく、副賞としてオスカー像が贈られます。
カンヌやヴェネチアなどの国際映画祭で上映される映画は、未公開作品が
基本で、アカデミー賞は、前年に上映された映画に与えられます。



そういう事もあり、アカデミーは、世間の支持と言う面で興行的に
成功することも大きなファクターですが、カンヌやヴェネチアなどは
芸術性が重視される傾向にあります。



しかし、アカデミー受賞においては、スピルバーグ監督の例もあるように
エンタメ性の高い作品より、芸術性の高い作品が好まれる傾向にあります。
又、アカデミー賞の前哨戦といわれているゴールデン・グローブ賞は、
前年に上映または放送された映画やテレビドラマに与えられる賞で、
ハリウッド外国人映画記者協会に所属する会員約90名により選ばれる。
ちなみにアカデミー賞の全米視聴者は、NFLスーパーボウル中継に
続いて2番目の高視聴率番組だそうです。



今年に日本人で新会員となった人達



菊地凛子
菊地さんは「パシフィック・リム」や助演女優賞候補になった
「バベル」などが評価され、昨年の新会員発表前にL.A.TIMES紙が
記事にした「アカデミーが新会員に考慮すべき100人」の中に
北野武さん、種田陽平さんと並んで挙げられていましたが、唯一、
招待を逃し、1年遅れはしたものの、訪れるべくして訪れた
オファーとなりました。



真田広之
真田さんは、2002年に公開されアカデミー外国語映画賞にも
ノミネートされた「たそがれ清兵衛」や「ライフ」が評価されました。、
「ラストサムライ」では、渡辺謙さんが助演男優賞ノミネートで
目立ちましたが、真田広之は、主演のトム・クルーズに真田さんが
殺陣や日本語を親身になって教え込んだエピソードを語っていた事や
「ハリウッドで最も活躍しているアジア俳優」に選出された事が
大きな力となっています。



真田さんは、米ドラマ好きなら、知る人も多いのですが
米ドラマ「LOST ファイナルシーズン」の 道厳役・
「リベンジ・シーズン1」サトシ・タケダ役、
「HELIX -黒い遺伝子- 」ヒロシ・ハタケ 役など
テレビでも活躍し、日本人で、アメリカのテレビ・映画の
両方活躍している稀有な俳優さんです。



テレビ俳優
アカデミーは、会員資格として、「長年、劇場用映画の世界で活動し、
優れたことを達成してきた人物」を挙げていることもありますが、
かつては、日本も映画俳優・テレビ俳優と一線を画してきましたが、
日本は映画斜陽で、映画俳優がテレビ俳優に進出し、余り垣根は
無くなりましたが、世界的なマーケットを持つアメリカでは、
映画だけで、稼ぐ事が可能で長らくそんな状態が続き、
後発であるテレビを格下にみる傾向がありましたが、



古くは、ドラマ「拳銃無宿」でブレイクしたスティーブ・マックイーン 、
TVコメディ役者としての地位を確立し、やがて、「ダイハード」シリーズで
世界的な俳優となったブルース・ウィリスなどTV出身の俳優が映画でも
活躍し、特に、ドラマ「ER緊急救命室」で人気を得て、
2005年「シリアナ」でアカデミー助演男優賞受賞を受賞し、
俳優としてだけでなく、製作総指揮、監督、脚本などにも関わった
ジョージ・クルーニーは、名実ともに、世間におけるテレビ俳優
出身者のイメージを大きく変えました。



又、多作主義だったハリウッドも大コケ映画などが多くなり、
次第にヒット狙いの大作、少作主義になり、出演機会が減り、
映画俳優もゲストとかでなく、主要キャストとしてテレビ界に
進出する事も多くなっています。



昨年、アメリカ・フェレーラやティナ・フェイなど、主にテレビで
活躍する人々が、今年もまた、フェリスのほか、エイミー・ポーラーや、
「サタデー・ナイト・ライブ」のケイト・マッキノンとレスリー・
ジョーンズらの名前が見受けられ、高齢化で硬直化した
アカデミー会員にも変化が見られます。



三池崇史
1998年に、「TIME」誌がこれから活躍が期待される非英語圏の
監督として、ジョン・ウーと並び10位に選出され、世界的な映画祭に
出品・受賞経歴があり、「十三人の刺客」などが評価されました。
クエンティン・タランティーノとの交流関係も見逃せません。
海外では、北野武監督とともに、暴力描写で評価が高い二人が



会員入りしているのは、面白い傾向です。
これは、深作欣二監督の「仁義なき戦い」が、黒澤明監督以来、最も
海外の映画に影響を与えた犯罪アクション映画の傑作と呼べる
べき存在になっている功績が大きい気がします。



出口景子
ドキュメンタリー部門・フィルム編集部門で「ミリキタニの猫」の
評価され出口景子さんらが選出されました。
NYで暮らす80歳の日系人路上画家ジミー・ミリキタニの姿を
捉えたドキュメンタリーで、第2次大戦中に受けた、彼の心の
傷跡をたどる旅を映し出しています、トライベッカ映画祭で観客賞、
パリ国際映画祭観客賞をはじめ、世界各国の映画祭で受賞を重ね
世界で称賛された作品で東京国際映画祭《日本映画・ある視点》部門、
最初の最優秀作品賞の受賞作でもあります。



米映画芸術科学アカデミーの
  日本人新規会員(推定)


※マスコミ発表などを通じて、調査したもので推定となっていて
所属部門など不明なものも多く、正確ではなく、日本人が
網羅されているとも言えません

▽俳優 渡辺謙、仲代達矢、菊地凛子、真田広之
▽美術 赤塚佳仁、種田陽平
▽監督 黒澤明(故人)、勅使河原宏、滝田洋二郎、
    黒沢清、三池崇史
▽ドキュメンタリー 原一男
▽音楽 梅林茂、坂本龍一
▽短編映画、アニメ 西村義明、堤大介、山村浩二、米林宏昌
▽脚本 北野武、是枝裕和
▽衣裳 ワダ・エミ
▽長編アニメ 高畑勲、



◎出口景子
ドキュメンタリー部門orフィルム部門
◎河瀬直美
監督or脚本
(注)河瀬氏&出口景子はどちらの部門に登録したか不明。
◎鈴木敏夫(スタジオジブリ)
◎松岡宏(東宝)
◎宮崎駿(辞退)
招待されるも作品専念の為に辞退
◎栗田豊通(撮影監督)



日本人でアカデミー賞を受賞

◎黒澤明
1952年に「羅生門」で日本人初のアカデミー賞
名誉賞を受賞しています。

◎和田三造
1955年には映画「地獄門」で衣装デザインを担当した日本人、
和田三造さんが、アカデミー賞衣裳デザイン賞を受賞

◎衣笠貞之助
「地獄門」の監督、衣笠貞之助監督は、「地獄門」で
名誉賞を受賞しています。




◎稲垣浩
1956年に映画「宮本武蔵」で、アカデミー賞名誉賞を
受賞しています。

◎ナンシー梅木
1958年、ナンシー梅木さんが「サヨナラ」という映画で
助演女優賞を受賞し、日本人初の女性受賞者ということで
話題になりました。

◎向井二郎&広瀬隆昌
1973年に、映画用マクロズームレンズを開発し、アカデミー賞
の科学技術賞を受賞しています。

◎黒澤明
1975年 「デルス・ウザーラ」で、外国語映画作品賞 受賞



◎ワダエミ
1986年に「乱」の衣装デザインでアカデミー賞
衣裳デザイン賞を受賞。

◎坂本龍一
1988年に映画「ラストエンペラー」でアカデミー賞
作曲賞を受賞しています。

◎黒澤明監督
1989年に、特別名誉賞を受賞、



◎石岡瑛子
1993年に「ドラキュラ」で衣装デザイン賞を受賞しました。

◎ 伊比恵子
1998年 「パーソナルズ〜黄昏のロマンス〜」で、
    ドキュメンタリー短篇賞 受賞

◎宮崎駿
2002年 「千と千尋の神隠し」で長編アニメ作品賞 受賞




◎滝田洋二郎
2008年 「おくりびと」で、外国語映画作品賞 受賞

◎加藤久仁生
2008年「つみきのいえ」で 短編アニメ作品賞 受賞

posted by 橙花 薫 at 00:00| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする