2012年01月24日

運命の一手(ボナンザ&ボンクラーズ)

ソニーストア

先日「米長邦雄永世棋聖 vs. ボンクラーズ 

プロ棋士対コンピューター 第一回将棋電王戦」が

行われ、米長邦雄・永世棋聖がコンピュータ将棋

「ボンクラーズ」と対決。



初めて公の場でコンピューターソフトに負けた

プロ男性棋士になりました。



★米長邦雄・永世棋聖

米長邦雄さんは、中原誠・加藤一二三とともに将棋の

一時代を築いた棋士で、現在は引退し、現在は将棋連盟会長です。

今回は会長としてではなく「永世棋聖」として対局に

臨みました。



「永世棋聖」とは、将棋のタイトル戦「棋聖」を

5回以上獲得した棋士が現役引退後に名乗れる称号で、

現役で資格を持つ棋士を合わせて5人しかいません。

負けたもののプロ棋士らしく冷静かつ淡々と真摯に

対局を振り返る姿や、対局だけでなく、時流の先を読み取り、

ニコニコ生放送での対局生中継など将棋を盛り上げる

プロデューサー能力の高さでファンが急増中です。

正に対局に負け、将棋に勝ったという感じです。



★ 「運命の一手 渡辺竜王VS人工知能・ボナンザ」
       (初回放送 2007年4月21日)


BSアーカイブスで、グッドタイミングで、

放送されていて、奥深い番組ですが、

「ボンクラーズ」の対局を合わせて見ると

より味わい深い番組となりました。



2007年3月21日、コンピュータ・ソフトと

プロ棋士の公開対局が実現しました。

対戦するのは将棋界最高のタイトル「竜王」を

持つ渡辺明さんと保木邦仁さんが開発し

「第16回世界コンピューター将棋選手権」の

優勝プログラム「ボナンザ」。



ボナンザが大方の予想を覆し善戦。敗れはしたものの、

コンピューター将棋の強さを見せつけました。

その時、渋る渡辺竜王を説得し、対戦させたのが、米永会長です。



運命の一手

渡辺竜王を序盤から苦しめた「ボナンザ」。

そして、渡辺竜王はある時、「ボナンザ」の次の一手で

勝負の分かれ目になることを読んでいました。

一見、消極手ですが、竜王の負けが見える一手。

早決めを狙う積極勝負手ながら、竜王の勝ちが開ける一手。

「ボナンザ」は結局、積極手を選択し敗北しました。



★ 「ボナンザ」の焦り

将棋ソフトは基本的に過去の膨大な棋譜から最善手と

思われる一手を選択する計算をします。



対局には、持ち時間があり、一手の計算に時間が

かかり過ぎると見切り判断をします。

「ボナンザ」の焦りが、運命の一手となりました。



悪手

対局場外で、保木さんが休憩して

「今頃、(ボナンザが)悪手をうってるところですかね」と

インタビューに答えてる時が、正しく運命の一手であったのは

皮肉なものです。



保木邦仁

「ボナンザ」の開発者が将棋初心者でした。

しかし、その事が独創的な発想を生みだしました。

「投了は何時したらいいんですかね?」に初心者らしさが

伺えます。



又、介添え者に

「もう負けの表示が示されてるんで…」は

化学者らしい論理的冷静さが感じ取れます。

「参りました」と言うとき、斜めに座っていたのを

竜王の真正面に椅子を変えた真摯さが心地よいです。



竜王の不安

運命の一手で、勝利を確信した竜王。

「ボナンザ」の勝負の優劣を表す評価係数が

実際どんどん悪化し、「ボナンザ」は奈落に沈んで

いるのですが、淡々とした指し手に、



竜王はもしや、「ボナンザ」は逆転の手を

見つけたのかと不安を募らせるのは、

「ボナンザ」の怖さ(強さ)を表しています。



米長棋聖の対策

今回の対局に向け、米長永世棋聖は、

シングルサーバーのボンクラーズを自宅に2台用意。

又、さまざまな若手棋士を事前研究のため自宅に招き、

1局1局をノートに付けつつ対ボンクラーズ対策をしていました



ボンクラーズ

ボンクラーズは、富士通研究所の伊藤英紀さんが開発し

昨年5月に行われた「世界コンピュータ将棋選手権」で

優勝した将棋ソフト。

ボンクラーズという名前は、「ボナンザ」をクラスター

接続したことに由来しています。



初手

ボンクラーズの初手は将棋では最もポピュラーな7六歩。

米長棋聖の2手目は、人間同士の対局では損とされ

プレマッチでボンクラーズに完敗した6二玉。



1800万手も読むボンクラーズに対し、

手を読ませないという作戦で、無駄な計算で

負荷を与えるというよく研究した一手。



米長棋聖優勢で進み勝利も見えかけたとき、

読みの錯覚を突き、ボンクラーズが起死回生の

一手で勝利を掴みました。



将棋ソフトは、人間の自滅するような一手は

見逃さないレベルにまで達しているみたいですね。

コンピュータと人間の対決と言う観点より

人間の姿と言う観点でみると奥深いモノがあります。



来年の「第2回電王戦」では現役棋士とコンピューターが

5対5で一斉対局を行います。





posted by 橙花 薫 at 00:22| TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする