
先日「米長邦雄永世棋聖 vs. ボンクラーズ
プロ棋士対コンピューター 第一回将棋電王戦」が
行われ、米長邦雄・永世棋聖がコンピュータ将棋
「ボンクラーズ」と対決。
初めて公の場でコンピューターソフトに負けた
プロ男性棋士になりました。
★米長邦雄・永世棋聖
米長邦雄さんは、中原誠・加藤一二三とともに将棋の
一時代を築いた棋士で、現在は引退し、現在は将棋連盟会長です。
今回は会長としてではなく「永世棋聖」として対局に
臨みました。
「永世棋聖」とは、将棋のタイトル戦「棋聖」を
5回以上獲得した棋士が現役引退後に名乗れる称号で、
現役で資格を持つ棋士を合わせて5人しかいません。
負けたもののプロ棋士らしく冷静かつ淡々と真摯に
対局を振り返る姿や、対局だけでなく、時流の先を読み取り、
ニコニコ生放送での対局生中継など将棋を盛り上げる
プロデューサー能力の高さでファンが急増中です。
正に対局に負け、将棋に勝ったという感じです。
★ 「運命の一手 渡辺竜王VS人工知能・ボナンザ」
(初回放送 2007年4月21日)
BSアーカイブスで、グッドタイミングで、
放送されていて、奥深い番組ですが、
「ボンクラーズ」の対局を合わせて見ると
より味わい深い番組となりました。
2007年3月21日、コンピュータ・ソフトと
プロ棋士の公開対局が実現しました。
対戦するのは将棋界最高のタイトル「竜王」を
持つ渡辺明さんと保木邦仁さんが開発し
「第16回世界コンピューター将棋選手権」の
優勝プログラム「ボナンザ」。
ボナンザが大方の予想を覆し善戦。敗れはしたものの、
コンピューター将棋の強さを見せつけました。
その時、渋る渡辺竜王を説得し、対戦させたのが、米永会長です。
★運命の一手
渡辺竜王を序盤から苦しめた「ボナンザ」。
そして、渡辺竜王はある時、「ボナンザ」の次の一手で
勝負の分かれ目になることを読んでいました。
一見、消極手ですが、竜王の負けが見える一手。
早決めを狙う積極勝負手ながら、竜王の勝ちが開ける一手。
「ボナンザ」は結局、積極手を選択し敗北しました。
★ 「ボナンザ」の焦り
将棋ソフトは基本的に過去の膨大な棋譜から最善手と
思われる一手を選択する計算をします。
対局には、持ち時間があり、一手の計算に時間が
かかり過ぎると見切り判断をします。
「ボナンザ」の焦りが、運命の一手となりました。
★悪手
対局場外で、保木さんが休憩して
「今頃、(ボナンザが)悪手をうってるところですかね」と
インタビューに答えてる時が、正しく運命の一手であったのは
皮肉なものです。
★保木邦仁
「ボナンザ」の開発者が将棋初心者でした。
しかし、その事が独創的な発想を生みだしました。
「投了は何時したらいいんですかね?」に初心者らしさが
伺えます。
又、介添え者に
「もう負けの表示が示されてるんで…」は
化学者らしい論理的冷静さが感じ取れます。
「参りました」と言うとき、斜めに座っていたのを
竜王の真正面に椅子を変えた真摯さが心地よいです。
★竜王の不安
運命の一手で、勝利を確信した竜王。
「ボナンザ」の勝負の優劣を表す評価係数が
実際どんどん悪化し、「ボナンザ」は奈落に沈んで
いるのですが、淡々とした指し手に、
竜王はもしや、「ボナンザ」は逆転の手を
見つけたのかと不安を募らせるのは、
「ボナンザ」の怖さ(強さ)を表しています。
★米長棋聖の対策
今回の対局に向け、米長永世棋聖は、
シングルサーバーのボンクラーズを自宅に2台用意。
又、さまざまな若手棋士を事前研究のため自宅に招き、
1局1局をノートに付けつつ対ボンクラーズ対策をしていました
★ボンクラーズ
ボンクラーズは、富士通研究所の伊藤英紀さんが開発し
昨年5月に行われた「世界コンピュータ将棋選手権」で
優勝した将棋ソフト。
ボンクラーズという名前は、「ボナンザ」をクラスター
接続したことに由来しています。
★初手
ボンクラーズの初手は将棋では最もポピュラーな7六歩。
米長棋聖の2手目は、人間同士の対局では損とされ
プレマッチでボンクラーズに完敗した6二玉。
1800万手も読むボンクラーズに対し、
手を読ませないという作戦で、無駄な計算で
負荷を与えるというよく研究した一手。
米長棋聖優勢で進み勝利も見えかけたとき、
読みの錯覚を突き、ボンクラーズが起死回生の
一手で勝利を掴みました。
将棋ソフトは、人間の自滅するような一手は
見逃さないレベルにまで達しているみたいですね。
コンピュータと人間の対決と言う観点より
人間の姿と言う観点でみると奥深いモノがあります。
来年の「第2回電王戦」では現役棋士とコンピューターが
5対5で一斉対局を行います。













