2017年06月05日

祇園 女たちの物語〜お茶屋・8代目女将(おかみ)〜(京老舗の代替わりの時)



6月3日放送NHKスペシャル 「祇園 女たちの物語〜お茶屋・

8代目女将(おかみ)〜」は、面白い視点と「京の代替わりの時」を

感じました。



★祇園 女たちの物語
       〜お茶屋・8代目女将(おかみ)〜
日本最大の花街、京都・祇園は僅か1q四方に狭い路地に、60軒余り
のお茶屋が軒を連ね、百人を超える芸舞妓が暮らし、一見さんお断り
など独特のしきたりで、200年間続くお茶屋い「富美代」を守って
きたのが8代目の女将・太田紀美(77歳)さんで、太田さんのお茶屋には
代々続く、家訓がある。「当主は女。結婚しないこと」。そのしきたりは、
祇園で働く女性にも同じで、結婚する時はすなわち、街を出る時です。
祇園で生きることを選んだ女性たちの切なく、誇り高い物語を描いています。



代替わりに関連する京都番組
この番組自体も面白いのですが、此処、2〜3か月に私が見た京都に
関する幾つかの番組を合わせると、非常に奥深いモノを感じました。



京都人の密(ひそ)かな愉(たの)しみ「桜散る
シリーズ完結となり、本編ドラマで、九代続く老舗の有職菓子司
「久楽屋春信」の若女将・沢藤三八子(常盤貴子)に
老舗の重圧を背負わせるのを不びんに思っていた母(銀粉蝶)は
職人頭の茂さんにのれん分けの相談をするが、彼はもっと適任の
男としてあげたのが、かつて三八子と訳ありの弟弟子の三上(石丸幹二)。
京都の風土が描かれ、本編ドラマでは、京の老舗の姿が描かれ
シリーズ後半は、代替わりがドラマの大きなポイントになっています。



NHKプレミアムカフェ 祇園・継承のとき
〜井上八千代から三千子へ〜
(初回放送2000年)

京都には上七軒、祇園甲部、祇園東、先斗町、宮川町の5花街があり
「祇園 女たちの物語」の舞台は、祇園甲部で、その祇園甲部の
正式唯一の流派が、京舞の井上流で、その井上流の家元が
井上八千代で、「祇園 女たちの物語」でも都をどりなどで
その姿が見受けられました。
この番組では、祖母・四代目家元から孫・五代目に
代替わりの時を、古都の冬から春の訪れの中に描いています。



プレミアムカフェ ハイビジョン特集 
   白洲正子が愛した京都
▽初回放送(2008年)
京都を「生まれ故郷のようだ」と語っていた随筆家・白洲正子
ゆかりの場所や人をくまなく紹介し、ホンモノに溢れた街
の魅力を描いていますが、そこに四代目家元・井上八千代さんが
登場していて、ゲスト達が、テクニカルなモノを超えた
凛とした力強い生き方が凄いとコメントし、白洲正子さんに
通じる共通する点を感じますが、「祇園 女たちの物語」
でも8代目の女将・太田紀美さんの花街に生きる女としての
覚悟を嫌と言う程知る事になります。



恋舞妓の京都慕情
J:COMチャンネルで放送されている京都・祇園甲部の舞妓、
茉利佳(まりか・「つる居」所属)、佳つ扇(かつせん・「小田本」所属)、
美月(みつき・「つる居」所属)の3人が、京都各地を巡る番組で
舞妓から芸妓になる(襟替え)などで、出演者が代替わりしていきます。



現在の先代出演者であり、襟替えで番組卒業した芸妓・紗月さんが
芸妓・舞妓の新年挨拶のシーンで少し登場していました。
この番組では、京都探訪と共に、舞妓達の無邪気な姿が魅力ですが、
その舞妓達がやがて芸妓になり、「祇園 女たちの物語」では、
祇園甲部の人気芸妓・真生さんに後輩達が結婚観を相談する姿があり、
その姿は対照的であり、芸に生きるか結婚を選択し、花街を去るかの
決断する時がやがて、やって来ますが、それは、8代目の女将・
太田紀美さんがかつて、決断した姿にも重なります。



NHKプレミアムカフェ
  「受け継ぐ 京都 老舗料亭の代替わり」
(初回放送:2006年)

「祇園 女たちの物語」では、老舗料亭「吉兆」の仕出しする
姿が見られましたが、老舗の料亭・瓢亭の14代主高橋英一さんが、
息子・現在15代目となっている高橋 義弘さんへの代替わりが描かれ、
受け渡す時を探る父、そして、その時を待つ息子の姿が淡々と描かれています。



 「富美代」の家訓
この茶屋には、そこに生れた女性の一生を
縛る厳しい家訓があります。
1.女として生れた者は、女将の跡を継がなくてはならない。
1.継いだ者は生涯、結婚することは許されない。
1.娘を生み、女将の跡を継がさなくてはならない。



娘への代替わりを躊躇するのは、かつての女将の経験と決断がありました。
女将は若い頃、男性と恋に落ち、その恋が諦められず、祇園を去る決断をし
その男性の子を身籠り、病院で一人で出産し、女の子を出産しました。
その病院に先代の女将(母)が訪れ、幸い女の子なので、後継ぎで
出来るので、二人で家に戻って来るか、嫌なら、このまま家に戻らず
祇園から出て行きなさいと宣告され、太田紀美さんは、結局、
戻る事を選択しました。



お茶屋なんか燃えてしまえ
女将は、最高責任者として大切な仕事である
都をどりチケット販売に追われる最中、「マッチ(チケット)売りの
少女でのうて、マッチ売りの老婆や」と云うなど、
苦労も笑いに変えてしまいます、
そんな女将が、若い頃、その家系は嫌で嫌で、その縛りか
ら逃れたい為に、「家(お茶屋)が燃えたら良いのに」と
何度も思っていたら「ほんとに燃えたんどすえ」と笑いながら言います。
「それから、とんでもない事や想って・・・」。偶然の出来事ですが、
女将らしい表現の中に深さを感じてしまいます。


高台寺 秋の夜間特別拝観

男前と女性らしい繊細なおもてなしの
       拝観後の高台寺
「女将は結婚することは許されない」は、お客にすべてを捧げ、
お客を恋人に接するようにもてなす、究極のおもてなしと言えます。
そこには、白洲正子さんによる京都人とは「千年のすれっからし」と
表現する、良い悪いを超えたような千年の都を守ってきた京都人、
花街・祇園を守る強さと覚悟、世間の尺度とは違った感覚があります
お客の為に、拝観後の高台寺を借り切って、1年に数日しかない
見頃な紅葉のライトアップを見せるおもてなしは、女将の
格と日頃の人間関係が無いと成し得ない事であり、男前な部分と
繊細なと女性らしい部分が両立して初めて出来るおもてなしです。



代替わりの決断
ドラマのように、代替わりの決断する時と言うモノは
ドキュメンタリー映像では、はかなか捉え辛いですが、
「祇園 女たちの物語」では、その姿を見事に捉えています。


都をどり

都をどりチケットの口論
体調の悪いお茶屋「富美代」の8代目女将の太田紀美さんが、
自分の体力の限界や代替わりの苦悩もあり、ついに不満を
爆発させ、「都おどりのチケット」の件で、娘と口論します。
女将は、娘の仕事振りから、テクニカルな要件は既にあり
後は経験が育ててくれるので、心構えや覚悟の問題だけと考え
「未だ、その器で無い」と判断し、娘は、「都おどり」の
最高責任者がする仕事・権限であり、他の仕事は手伝うが
その仕事は、正式に女将となっていない以上、私が関知しては
いけない仕事であり、ある意味、女将の立場を気遣っていました。
娘さんには、「遠慮しないで、さっさと譲るといってよ」と言う
気持ちがあったのかも知れません。



お互い、宿命と言うモノを認識し、受け入れているのですが、
お互い口に出せない躊躇と女の意地の張り合いがありました。
その躊躇には、祗園しか知らない女将が、娘に、出来るだけ
外の世界を経験させたいと留学を勧めた母の娘への想いがあり
そこにあるのは「京都人の密(ひそ)かな愉(たの)しみ」の
三八子と母の姿がありました。



女将の手術
長年の女将暮らしで、体力的限界が、遂に足に現れ、
足の手術を決断し、その手術後、すぐに自宅に帰り
何と仕事の打ち合わせすると言う母に、いつもは、女将の立場を
たてる事が多いのに、「そんな事は、私が出来るし私がするから」と
何時には無い、強い口調で、、女将の無謀な行為に、若女将のように
母を制止し、女将は、その時、「そんなら、あんた(娘)云う通りに
休ませて貰います」と素直に嬉しそうに、言う事をききました。
この時、女将と娘と言うより、母娘の心のキャッチボールがありました。


リーガロイヤルホテル京都

お茶屋「富美代」・創業200年記念パーティー
京都唯一の回転展望がテレビに映ったので、リーガロイヤルホテル京都で
「富美代」創業200年記念パーティーが行われたようです。
そこで、8代目の女将・太田紀美さんは、正式に、9代目女将・太田直美さん
を発表しましたが、その後、太田紀美さんが、馴染みの客と
女将の重責から解放され、太田紀美として興じる姿とその母を
女将として、襖の陰から見守る9代目女将・太田直美さんの姿が
印象的です。




posted by 橙花 薫 at 00:00| TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする