2018年09月21日

それぞれの「後一日」

「それぞれの後一日」をテーマにしたオムニバスです。
◎中村吉右衛門
BS朝日のザ・ドキュメンタリー「二代目 中村吉右衛門 人間国宝74歳 いのちの歌舞伎」で、一回で、二十数日公演を年間何回も行う歌舞伎は、74歳 の体に大きな負担を強いります。
ドラマ「鬼平犯科帳」のファイナルは、満足な立ち回りの出来るここらが限界と言う理由が大きく、演技に真摯な中村吉右衛門さんらしいファイナルとなりましたが、お孫さんとの歌舞伎初共演と言う嬉しさの好好爺の吉右衛門さんの何よりの演技上の心配が、十数sのお孫さんを背負い、歩けるかと言う事でした。
心技は、益々の円熟を迎えていますが、「心技体の体」である体力の衰えとの闘いの日々です。
エレベーターの中で「はぁはぁ」と言いながら、壁に両手をつき、「(千秋楽迄) 後一日」と言う言葉が印象的でした。

◎安室奈美恵
安室奈美恵さんが、昨年9月の引退発表から、約1年となる活動を終え、9月16日で、引退しました。
引退発表からカウントダウンが始まり、感傷に浸ると言うより、仕事に忙殺されたあっという間の一年だったのではと思います。
そして、「後一日」となった時に、安室奈美恵さんは、何を思ったのでしょうか?
安室奈美恵さんが凄いのは、グループアイドルから、ソロ、ボップスから、音楽スタイルを時代により変え、10・20・30・40代のそれぞれで、ミリオンセラーを達成している事です。
テレビからライブに基点を置いて、活動するようになってからは、シンガーと言うより、歌って踊るパフォーマーが、完璧なエンターテイメントショーを追求する求道者のような感じでした。
ドキュメンタリーなどを見ると、安室奈美恵さんの子供が、一人前になる年代迄は、仕事を続ける人生目標が、大きかったようです。
子供が成長するにつれ、何を引き際にするのかが、課題になっていた感じがします。
私の勝手な推測では、「鬼平犯科帳の立ち回り」のように、安室奈美さんの思うダンスが、思うように出来なくなったらが、あった気がします。
勿論、周囲から見れば、「まだまだやれる」
レベルでも、完璧なパフォーマンスでないと駄目なのでしょう。
沖縄の最後のライブでは、安室奈美恵さんには、涙は無く、晴れ晴れした様子だったようです。
きっと「後一日」のライブが、引退の感傷より、プロのパフォーマーとしての最後を無事終えた喜びでしょう。


◎樹木希林
樹木希林さんが、9月15に逝去されました。
ご冥福をお祈り申し上げます。
2003年に左目を失明され、2005年に乳ガン手術を受け、2013年には、全身癌を告白されています。

2013年以降の主な映画出演作品(抜粋)
○そして父になる
○あん(主演)
○海街diary
○万引き家族(パルムドール賞受賞)
○日日是好日
○エリカ38(2019年公開予定)

樹木希林さんは、主演、助演合わせて、三回最優秀賞を受賞していますが、「あん」でも優秀主演賞を受賞しています。
全身癌の告白後も、精力的な仕事には驚くばかりです。
樹木希林さんにとっては、治療と共に、映画出演が、癌と闘う大きな力になっていたようです。
8月13日に、樹木希林さんは、大腿骨を骨折し、緊急手術を行っていて、肉体的なダメージは、勿論ですが、長期間の映画出演は、断念せざるを得ない状況と言う精神的なダメージが、大きかったと推測出来ます。
樹木希林さんにとっては、「後一日」しかないのでは無く、「後一日」も演技出来る時間があると言う喜び、希望だったのでしょう。

posted by 橙花 薫 at 10:00| TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする